2018年1月10日、SNS『Twitter』で日経新聞の校閲を担当する記事審査部の公式アカウントが「パワーワード」について解説。「パワーワードのパワワと略されます」と紹介したところ、「そのような略し方はしない」と多数のツッコミが入り炎上しました。
炎上までの流れ
日経新聞 記事審査部が「パワーワード」の解説をツイート。
「パワーワード」は力強いことば、強烈な印象のあることばといった意味で、パワワと略されます。三省堂の「今年の新語2017」では3位に選ばれました。みなさんにとってのパワーワードは何でしょうか。私の昨年一番のパワワは友達からのたった一言のメール。「婚約者と別れた」でした。(乃)
— 日経新聞 記事審査部(校閲担当) (@nikkei_kotoba) 2018年1月9日
「パワワと略されます」、「私の昨年一番のパワワは友達からのたった一言のメール。『婚約者と別れた』でした」の2点に対して目にした人から多数のツッコミが入ることになります。
パワワ?初めて聞いたw
— たみ (@mbaby48443861) 2018年1月11日
パワーワードの意味まちがえますよ?
パワワとも略しません。
情報発信する立場なので、しっかり裏くらいとってから発信しましょうよ。— くろな (@kurona090607) 2018年1月10日
— てくのろいや (@Teknoroia) 2018年1月11日
略称「パワワ」は存在する
「パワワ」という言葉を聞いたことがない人にとっては、「パワワwww」という印象を受けることでしょうが、この略称は存在します。
そのうえ日経新聞記事審査部は「パワーワード」について、三省堂の「今年の新語2017」の説明文をそのまま紹介しただけでした。
3位 パワーワード
パワー ワード〔power word〕(名)①説得力のある ことば。②表現が異様で、強烈(キョウレツ)な印象のある ことば。パワワ〔俗〕。〔二〇一〇年代に広まった用法〕
つまり実際は日経新聞記事審査部の言葉でもなかったわけです。辞書の内容を紹介して炎上したのは本当にかわいそう。
「パワワ」の使用例
Twitterで「パワワ」と検索すると、若いユーザー層が使っていることが分かります。
自分にとってのみ威力の高い言葉「パワワ」
改めて興奮ってすげえパワワ(?)
ありがとう(???????)— しと (@citrow_sub) 2017年12月10日
志摩くん「牛井さんは1週間で餓死でしょ」
がパワワすぎてシンドい— ちたね (@gagbi) 2017年12月18日
おまえ見た目上品なのに中身ゴリラだなって言われたのが今日のハイライトだし今日一番のパワワ
— じまこ (@jimakotyann) 2016年11月8日
例外:パグとチワワのミックス犬の名前
パワワ、なんか不安になる pic.twitter.com/GE6xOnmUDU
— たそ (@uzutaso) 2017年12月23日
日経新聞記事審査部が炎上した背景には、この略称の「パワワ」で使い方を学び、「パワーワード」の例を「婚約者と別れた」という個人にとってのみ威力の高い言葉を紹介した点にあります。
本当のパワーワードとは?
パワーワードとは、基本的に「聞くだけでインパクトのある言葉」を指します。
パワーワード(power word)とは、「力のある言葉」や「インパクトのある言葉」を指す言葉である。
与える「影響」の詳細は問わないので、「前向きな」「希望に満ちた」というポジティブな影響を与えそうな言葉だけでなく、「呪詛」「絶望的な気分になる」といったネガティブな影響をもたらす言葉をも含む。パワーワードとは (パワーワードとは) [単語記事] – ニコニコ大百科
パワーワードとは、心に残るインパクトや含蓄が宿った単語の事である。
キャッチーで耳に残り、聞く者の心に眠る何かを呼び起こしかき立てる、そんな単語の事。
相手に強い影響を与えれば、例えネガティブな意味でもそれはパワーワードとなり得る。
パワーワード (ぱわーわーど)とは【ピクシブ百科事典】
たとえば以下のように使われています。
藤崎詩織 40歳とかいうパワーワードが流れてきたので。
(うちでは永遠の17歳ですが) pic.twitter.com/kJ6NmWYhF8— あいざわひろし@次回5/20ゲームレジェンド (@aizawahiroshi) 2018年5月7日
現代ラテン語会話とかいうパワーワード pic.twitter.com/qRB5rsQwOL
— 一倉 (@ichikurage) 2018年5月5日
「はちま起稿が報じてくれました」ってパワーワード過ぎて、起き抜けに腹筋崩壊したわwwwwww #中野区長選 pic.twitter.com/KggIicpAlz
— ちへ (@tommy_zina) 2018年5月4日
どうすれば炎上を防げたか?
辞書の説明にならうのではなく、きちんと「パワーワード」について調べていれば使い方を誤ることもなかったと思われます。一番良いのは「人に聞く」ですが、日経新聞社内に「パワーワード」利用者がいたかどうかは疑問が残ります(参考: 「そんなの関税ねえ、そんなの関税ねえ、はい、TPP」。インターネットの中でそんな駄じゃれが出回っている。)。
また、日経新聞記事審査部のターゲットユーザー層が「パワワ」利用層ではなく、「パワーワード」利用層だったのも原因のひとつです。
知らない言葉について、辞書を元にしたとしても知ったかぶりで解説するのはやめましょう。
炎上の結果起きたこと
日経新聞 記事審査部(校閲担当)のアカウントに注目が集まりました。結果としては良かった。