日経新聞「パワーワードはパワワと略されます」炎上事件

 2018年1月10日、SNS『Twitter』で日経新聞の校閲を担当する記事審査部の公式アカウントが「パワーワード」について解説。「パワーワードのパワワと略されます」と紹介したところ、「そのような略し方はしない」と多数のツッコミが入り炎上しました。

炎上までの流れ

 日経新聞 記事審査部が「パワーワード」の解説をツイート。

 「パワワと略されます」、「私の昨年一番のパワワは友達からのたった一言のメール。『婚約者と別れた』でした」の2点に対して目にした人から多数のツッコミが入ることになります。

略称「パワワ」は存在する

 「パワワ」という言葉を聞いたことがない人にとっては、「パワワwww」という印象を受けることでしょうが、この略称は存在します。

 そのうえ日経新聞記事審査部は「パワーワード」について、三省堂の「今年の新語2017」の説明文をそのまま紹介しただけでした。

3位 パワーワード

パワー ワード〔power word〕(名)①説得力のある ことば。②表現が異様で、強烈(キョウレツ)な印象のある ことば。パワワ〔俗〕。〔二〇一〇年代に広まった用法〕

2017年の選考結果|三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2017」

 つまり実際は日経新聞記事審査部の言葉でもなかったわけです。辞書の内容を紹介して炎上したのは本当にかわいそう。

「パワワ」の使用例

 Twitterで「パワワ」と検索すると、若いユーザー層が使っていることが分かります。

自分にとってのみ威力の高い言葉「パワワ」

例外:パグとチワワのミックス犬の名前

 日経新聞記事審査部が炎上した背景には、この略称の「パワワ」で使い方を学び、「パワーワード」の例を「婚約者と別れた」という個人にとってのみ威力の高い言葉を紹介した点にあります。

本当のパワーワードとは?

 パワーワードとは、基本的に「聞くだけでインパクトのある言葉」を指します。

パワーワード(power word)とは、「力のある言葉」や「インパクトのある言葉」を指す言葉である。
与える「影響」の詳細は問わないので、「前向きな」「希望に満ちた」というポジティブな影響を与えそうな言葉だけでなく、「呪詛」「絶望的な気分になる」といったネガティブな影響をもたらす言葉をも含む。

パワーワードとは (パワーワードとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

パワーワードとは、心に残るインパクトや含蓄が宿った単語の事である。

キャッチーで耳に残り、聞く者の心に眠る何かを呼び起こしかき立てる、そんな単語の事。
相手に強い影響を与えれば、例えネガティブな意味でもそれはパワーワードとなり得る。
パワーワード (ぱわーわーど)とは【ピクシブ百科事典】

 たとえば以下のように使われています。

どうすれば炎上を防げたか?

 辞書の説明にならうのではなく、きちんと「パワーワード」について調べていれば使い方を誤ることもなかったと思われます。一番良いのは「人に聞く」ですが、日経新聞社内に「パワーワード」利用者がいたかどうかは疑問が残ります(参考: 「そんなの関税ねえ、そんなの関税ねえ、はい、TPP」。インターネットの中でそんな駄じゃれが出回っている。)。

 また、日経新聞記事審査部のターゲットユーザー層が「パワワ」利用層ではなく、「パワーワード」利用層だったのも原因のひとつです。

 知らない言葉について、辞書を元にしたとしても知ったかぶりで解説するのはやめましょう。

炎上の結果起きたこと

 日経新聞 記事審査部(校閲担当)のアカウントに注目が集まりました。結果としては良かった。