2019年2月20日、グリコが2月6日よりリリースした子育てコミュニケーションアプリ『こぺ』が、「パパのためのママの気持ち翻訳」、「男性脳と女性脳がある」といった情報サイトを公開。女性蔑視であると批判が集まり、炎上した。
2月23日、グリコは情報サイト「おしえて!こぺ!」のサービス終了をTwitterで発表した。
しかしながら謝罪の言葉がなかったため、炎上が収まっていない状態だ。なお、アプリの運営は続けられている。
- 子育てコミュニケーションアプリ『こぺ』とは?
- 情報サイト「おしえて!こぺ!」とは?
- ハッシュタグ「#こぺ燃大喜利」が作られる事態に
- 何が問題だったのか?
- グリコはサイトを終了するも謝罪なし
- プロジェクトを理解してもらうためにまずは謝罪を
- 「男性脳」「女性脳」のウソ
- 関連リンク
子育てコミュニケーションアプリ『こぺ』とは?
子育てコミュニケーションアプリ『こぺ』は、グリコが夫婦でともに取り組む育児「Coparenting(コぺアレンティング)」社会の実現をめざし、「Co育てPROJECT(こそだてプロジェクト)」の第一弾としてリリースしたアプリだ。
「Co育てPROJECT」は、「妊娠からはじまる1000日間」を子供のココロとカラダの基礎をつくる大切な時期ととらえ、その時期の子育て課題の解決を目指すグリコグループによる新たな取り組みだという。
情報サイト「おしえて!こぺ!」とは?
情報サイト「おしえて!こぺ!」は、アプリ『こぺ』のリリースを記念して2月19日に公開された。
ママからのメッセージが書かれたタイルをクリックすると、「本当の気持ち」が翻訳されて表示されるという仕組みだ。
この仕組みは「パパのためのママ語翻訳コースター」であり、モンテローザ系列の居酒屋でも(おそらくは物理的に)展開されているとのこと。
ハッシュタグ「#こぺ燃大喜利」が作られる事態に
掲載された内容がおもに女性の怒りを買い、公開からわずか1日で「おしえて!こぺ!」は炎上した。
その後、「正しい翻訳の結果」を投稿する「#こぺ燃大喜利」というハッシュタグまで作られる事態となった。
戦力外通告。
「ママはパパとの関係の改善、努力を終わりにしたがっている。アンペイドワーク(育児家事の無償労働)を理解しないパパを『足でまといだ』『子育てで手一杯なのに成人男性のお世話まで担えない』と切り捨てる決意をしています。戦力として見限られました」#こぺ燃大喜利#おしえてこぺ pic.twitter.com/Z1v7ew5kVN
— ⛩飾り気🍭💛3歳+0歳🎲✨ (@miku306abc) February 20, 2019
寂しくなんかないし愚痴なんか聞きたくないっつーの!!
「グチを打ち明けて『あげよう』」って上から目線なのめっちゃ腹立つ😇この場合は
「家事育児手伝え」
以上!#おしえてこぺ pic.twitter.com/ozimeb3kru— まゆ@10/6♂ (@592833114ym) February 20, 2019
与えられて当然の立場は子供だけだ。
「生涯の伴侶に選んだ人が、人に対して感謝と労いがない人間性だったことを心から後悔してタイムマシンがあれば『そいつはダメだ結婚するな!』と伝えたい気持ちでいっぱいだよ。必死で謝ってたくさんお礼を伝えて次に生かそう。」#こぺ燃大喜利#おしえてこぺ pic.twitter.com/dg7hhO2tPm
— かざり (@kazarigiri) February 20, 2019
一緒にいる意味ないよね=私はお前のカーチャンじゃない
相手はあなたのママではなく、あなたの子供のママです。怒っています。子供の父親として心をいれかえるからもう一度だけチャンスを下さいってお願いしよう。#こぺ燃大喜利#おしえてこぺ pic.twitter.com/MnETLZKBHb
— よこ👊自由に使える水は最低限の人権です (@myazeppa) February 20, 2019
何が問題だったのか?
筆者はこうした性差問題に詳しくなく、的外れかもしれないが「自身の怒りを代弁する言葉が全く違う」ことが一番の怒りの原動力ではないかと推察している。都合の良いように翻訳されてはたまらない、というわけだ。
批判のなかには「女性側の言葉を翻訳しないといけないのは理解しようとしない男性側に問題がある」、「男性脳、女性脳はジェンダーステレオタイプ」、「男性側からみても男性が何もしてないという表現でおかしい」といったものも見受けられた。
グリコはサイトを終了するも謝罪なし
グリコは炎上をうけて2月23日に「おしえて!こぺ!」の終了をTwitterで発表したが、そこに謝罪の言葉はなかった。
「おしえて!こぺ!」にたくさんのご意見を頂戴しありがとうございます。皆様から頂いたご意見を真摯に受け止め、日々改善を重ねて参ります。https://t.co/sPg9Se3JXB pic.twitter.com/kA9OYrYyIq
— Glico PR Japan (@GlicoPRJP) February 23, 2019
ツイートの書き起こし
子どもには、健やかに、幸せに育って欲しいと、誰もが願っています。
「妊娠からはじまる1000日間」は、子どものココロとカラダの基礎をつくる大切な時期だと言われています。
ですが、初めての子育てに向き合うパパ・ママにはそれぞれ不安やストレスがあり、現代日本においては、諸外国に比べて男性の育児休業取得率が低いなど、育児環境に関する社会課題も山積みです。
Glicoが進める「Co育てPROJECT」は、いちばん近くにいるふたりが和気あいあいと、上手に協力して、いっしょに子どもを育てる「Co育て」を通して、パパ・ママを応援していきたいと思っています。
子どものココロとカラダの健やかな成長を実現するために、今後も皆様からのご意見を真摯に受け止め、日々改善を重ねてまいります。※情報サイト「おしえて!こペ!」については終了いたしました。
プロジェクトを理解してもらうためにまずは謝罪を
グリコの発表文や、アプリ『こぺ』が誕生した経緯をみるに「Co育てPROJECT」はかなり力を入れていることがわかる。
しかし、ユーザーにプロジェクトの意義を理解してもらうためには、まずは怒りを収めてもらわなければならない。
怒っている相手に「これはこういう意味で」と趣旨を説明しても、相手が勘違いでもしていないかぎり「だからなんだ!」ということになってしまう。
今回の炎上ときちんと向き合って消火しない場合、プロジェクト第二段を発表した際に蒸し返されることが予想される。批判者の怒りは収まっていないからだ。
「男性脳」「女性脳」のウソ
「男性脳」、「女性脳」については否定する研究結果をいくつも確認することができた。
男女の脳の違いとして、男性の方が左右の脳の連携がよくないとか。これには、元になった論文がありまして、1982年に『サイエンス』誌で発表されています(※)。男女それぞれ、脳梁の太さを測ったら、女性のほうが太かったと。でも、この論文のデータは男性9人、女性5人からしかとってないんです。それだけで、女性のほうが左右の脳の連絡がよくできてるっていう結果にしている。そもそも信頼性がないし、その後、いろいろな研究者が再現しようとしたんだけど、結局できてません。今さすがにこれを信じている脳科学者はあんまりいないんですよ
研究チームは、6,000件を超えるsMRI(構造的核磁気共鳴画像法)検査の結果をメタ分析した結果、まずは、脳の海馬の大きさに大きな男女差はないことを示した。
(中略)
さらに今回の研究では、大規模なメタ分析により、海馬以外のふたつの性差説も否定されたという。具体的には、左右の大脳半球をつなぐ神経線維が束になった脳梁は、大きさに男女差があるという説が否定された。また、男女の脳は半球による言語処理の方法に大きな違いがあるという説も否定されたという。
関連リンク
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グリコによる最初のツイート(archive.is)
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おしえて!こぺ!(archive.is)